抵抗加熱の原理
抵抗加熱は、導電性の物体に電流を通した際に物体が持つ電気抵抗により発熱する原理を利用した加熱方式です。原理が簡単で装置構成が単純になり、使用温度の範囲が3000℃までと広いのが特徴です。電気加熱が始まってから現在に至るまで分野を問わず最も広く使われています。
抵抗加熱炉の特長として、以下のような点を挙げられます。
抵抗加熱炉の特長
- 多様な被加熱物に使用できる
- 3000℃前後の高温まで幅広い温度範囲で使用できる
- 各種ガスまたは真空雰囲気で使用できる
- 電気エネルギーが100%熱に転換されるため、加熱効率が良い
- エネルギーの測定と管理が容易にできる
- 温度制御を精密に行うことができる
- 一般的な商用周波数の交流電源を使用するので、特別な電源装置が必要ない
- 装置の取り扱いが容易で安定性が高く、集中制御方式を導入しやすい
- 騒音が少ない
電流の作用は、大きく熱、化学、磁気の3つに分けられます。私達が身近に経験できる熱作用として、電気製品を使っているとコードが暖かくなることがあります。この熱は電線が抵抗を持っているゆえに発生します。この熱をジュール熱といいます。 この原理が、英国の物理学者J. P. ジュールによって1840年に発見された「ジュールの法則」であり、「導体に一定の電流を流すと、一定時間内に発生するジュール熱の量は、電流の強さの2乗と導体の抵抗に比例する」ということです。式で表すと以下のようになります。
W = I²RT
(W:電力量、I:電流値、R:抵抗値、T:時間)