高周波誘導加熱の原理
加熱方式にはヒーター加熱、誘導加熱、通電加熱、ランプ加熱、誘電加熱等いろいろな手法があります。中でも高周波電源による電磁誘導現象を利用した高周波誘導加熱は、その優れた特性から目的に応じた「最も適した加熱」が選択できることで近年脚光を浴びている加熱方式です。特に加熱したい部分にエネルギーを効率的に集中させることができることから、局部加熱を必要とする産業での生産性や作業性が非常に高く、経済的な加熱方式として工業炉から家庭電化製品にいたるまで広範囲な分野で利用されています。
コイルに交流電流を流すと、向き及び強度が変化する磁界が発生します。発生した磁界の中に金属を置くと、金属内には磁束を妨げる方向に渦電流が流れます。金属が電気抵抗を持つ為、電気抵抗と渦電流によりジュール熱が発生し金属が発熱します。
このように導電性の被加熱物に電流が誘導されて自己発熱させる加熱方式を誘導加熱と称し、高周波電流を利用した誘導加熱を高周波誘導加熱といいます。
高周波誘導加熱は被加熱物が自己発熱しますが、コイルには熱が発生しません。このように加熱コイル内の被加熱物に直接電流を流す直接加熱方式であり、被加熱物は導電体であることが条件となります。絶縁体などの被加熱物を加熱する場合は導電性の容器に入れ、容器を誘導加熱して熱伝達させる間接加熱方式を用います。